神勝寺
目玉は現代アーティスト名和晃平の作品です。
現代アートファンの一人として名和晃平作品を観に行こう、ぐらいの軽い気持ちで行ったのですが、想像以上にすごいものを見てしまって頭がふらふらとしています。
何がすごいか、ということの前にそもそもなんで禅寺に現代アートティストが作品を作ったのか、ということから遡って書かなければいけません。
この神勝寺というお寺は造船会社の社長が海難事故にあった人の供養のために作ったお寺だそうです。
瀬戸内海周辺では、この手のお寺が各地にあります。
瀬戸内海は日本海や太平洋と比べて穏やかですが、多島海であるがゆえ、あるいは本州と四国との関係性に置いて主要な交通手段として海路が選ばれた、というか選択せざるを得なかったのでしょう。
おそらく文化にも造詣の深かった人で、
本堂は当時としては珍しいコンクリート建築
白隠の禅画コレクションが200点以上
庭園は足立美術館の造園も手がけた
茶室
寺務所は藤森照信建築
などなど見所に事欠かない禅寺です。
そうして禅の思想をより広く広めるために、禅の思想を体感できる場所として作られたのが洸庭です。
これはいくら写真を見ても、空間の中に入って、五感をフル稼働させなければ絶対にわからないような作品なので、あまり多くを語ることはしないようにします。
あえていうのであれば、作品を見ている間にずっと感じたことは海に対する祝福のまなざし、とでも言いましょうか。
海で失われた多くの命を弔うと同時に海そのものの存在やそこから生まれてきた生命に対する祝福であふれている作品でした。
ところでここではうどんや湯豆腐、お茶菓子などを食べるところもあるのですが、食べた湯豆腐がとても美味しかった。
優しい味付けが美味しいのはもちろんですが、桶に入って運ばれてきたのは四角と三角と丸の湯豆腐。
禅の思想で、四角は枠にはまっている現在の状態、三角は座禅を組んで修行している様、丸は何事にもとらわれない悟りを開いた状態を表しているのだそうです。
修行をしている気持ちになって、四角、三角、丸と食べた後に出てきたデザートは羊羹。
また四角に戻ってしまいました。禅の思想に近づくにはまだまだ修行が足りないようです。