「断片的なもの」たち
ここ数日、本当に偶然なのだが、世の中の断片的なものに思いを馳せるものに繰り返し出会った。 列挙すると 岸政彦著「断片的なものの社会学」を読んだこと 霧島アートの森で開催中の「島は、山。」展を観に行ったこと つなぎ美術館で開催中の「熊本から宮城へ 水曜日の消息展」を見に行った...
「タロウのバカ」感想
良い作品とは何か? その答えは無限にあるけれども、ここで一つ「見終わった後に、まるで喉に刺さった魚の小骨のように引っかかって、ずっとずっと気になってしまうもの」という定義を与えたい。 賛否両論を巻き起こしているという本作だが、賛の人にとっても否の人にとっても、ずっと心に引っ...
地理と身体と解像度に関する雑文
いつもの記事とは少しテイストを変えて、最近もやもやと考えていることを文章にしてみようと思う。 先日、人生で初めて東北を訪れた。目的地は山形県鶴岡市。庄内空港に降り立った私を待っていたのは、広い大地と360度囲む山々と青い空だった。...
「メディアアートの輪廻転生」感想
YCAM(山口情報芸術センター)で開催中の「メディアアートの輪廻転生」展を観に行った。 YCAMは数ある文化施設の中でも、特別な存在だ。まずもってどんな施設なのか説明が難しい。美術館?劇場?どちらも違う。メディアアートに特化した施設とも言われるが、微妙にずれている。「研究開...
綿矢りさ「勝手にふるえてろ」感想
「とどきますか、とどきません。」 という冒頭から始まるドライブ感溢れる3ページにこの作品の魅力が凝縮されていると言っても過言ではないだろう。 最近映画化されたこの作品は「妄想女子のラブストーリー」なんてキュートな触れ込みだけど、これってそんなにキュートでポップなお話だったっ...
現代アートを一旦ほどいて紡ぎなおす対話
実はこの7ヶ月、 Tokyo Art Research Lab の 「思考と対話と技術の学校」 というアートプロジェクトの担い手を育てる学校の 「言葉を紡ぐ」 という講座を受講していました。 今回、修了課題としてアートプロジェクト(現代アート)を語る小説風のものを書きました...
横浜トリエンナーレ感想
「接続性」と「孤立」というのが横浜トリエンナーレ2017に通底するテーマである。 今までのヨコトリは毎回アーティスティックディレクターを選出していたため、その個性が強く感じられたが、今回は複数名のディレクターや構想メンバーなどが関わりテーマやアーティストを考えるという新しい...
「極限芸術〜死刑囚は描く〜」展
渋谷で開催されていた展覧会に行ってきました。 極限芸術〜死刑囚は描く〜 こんなにもやもやした気持ちを抱えながら見た展覧会も珍しい。 死刑囚の描いた作品はしばしばアール・ブリュット=生の芸術の文脈で語られる。 この展覧会では「極限芸術」と名を冠しているが、極限状態に置かれた人...
「ブラインドデート」志賀理江子個展
写真は一瞬の時間を留める、という言い方があるが、写真はだって虚像でしかない。 そう感じたのは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催中の志賀理江子個展「ブラインドデート」を見ながらのことだった。 チケットを買うと「展示室は暗いので足元お気をつけください」と言われ、暗いとはいえ写真展...
神勝寺
臨済宗建仁寺派 天心山 神勝禅寺というところに行ってきました。 昨年ここに神勝寺 禅と庭のミュージアムと題された施設が完成しました。 目玉は現代アーティスト名和晃平の作品です。 現代アートファンの一人として名和晃平作品を観に行こう、ぐらいの軽い気持ちで行ったのですが、想像以...