豊島レポ①
よく、「とよしま」とか「としま」と勘違いされることが多いけど、瀬戸内海に浮かび、美術館があったり瀬戸内国際芸術祭の舞台となっているのは「てしま」です。
豊島の玄関口としては、家浦港か唐櫃(からと)港があります。
今回は家浦港に到着しました。島内での主な交通手段はバス(本数が少ないので注意)かレンタサイクル(電動の方が絶対良い)かレンタカーです。
私たちは家浦港すぐそばの安岐石油さんのところで車を借りました。ここのおっちゃんはめちゃくちゃ素敵な人で、ずっと豊島の変わりゆく風景を見てきて、アーティストや関係者と関わって、どれほどの人の情熱で作品が作られてきているのかってことをものすごく情熱的に語ってくださいました。そして訪れた人それぞれに合わせて、こういうプランで回るといいよってことをアドバイスしてくれます。
土の人、風の人っていう言葉があるけど、地域アートが展開していく上では風の人の活躍ばかり表に現れているように思います。アーティストとか、キュレーター、ディレクターといった人たち、つまりヨソ者たちです。この人たちの役割はものすごく重要なわけだけど、そこには安岐さんみたいな土の人がいてくれるからこそ風の人たちがやってくる土壌になっているし、風の人が去ったあともずっと語り継いでくれる語り部として、あまり表には出てこないかもしれないけどものすごく重要な存在なんだと思いました。
一方で、そういう人的資源に頼っているというか、頼らなければならないことに、危うさも孕んでいるのではないかとも感じます。
すみません、おっちゃんの存在が、出会いが強烈すぎて、うまくまとめられないです…。
さて、無事にレンタカーに乗ってまずは腹ごしらえ。
「島キッチン」という、瀬戸内国際芸術祭2010のときに空き家を改修して「食とアート」で人々をつなぐ場として開店したお店があります。
月に一度は島の人たちのお誕生日会をやっていたりする面白いところです。
が、お昼時ど真ん中に行ってしまい、行列ができていたので断念しました。
時間をずらしていくか、予約していくことをオススメします。ちなみに土・日・月しか営業してないです。
そこで、島キッチンのすぐ近くにある食堂101号室というところに行きました。
こちらも古民家を改修して作ったところのようです。
内装はこんな感じ。お洒落です。
もともとはかなり立派なお宅だったことが伺えて、写真は撮ってないけど、欄間やお庭も素敵でした。
そのあと、スプツニ子!さんの新作を見に、甲生(こう)という地区にある豊島八百万ラボへ。
銀色の鳥居をくぐった先に、古民家を大胆に改修して作った作品があります。
豊島という名前は古事記に出てくる豊玉姫の名前に由来するという説があるそうです。
その神話にあやかって(?)、蚕を使って運命の赤い糸を作ろうとする女の子にまつわる映像とインスタレーションの作品です。
・・・ってだけ書いてもなんのこっちゃという感じでしょうが、最先端科学を使って神話を具現化させようとする、いわば古代から未来までの時間軸を軽々と飛び越える、スプツニ子!さんらしい世界観がとても素敵な作品でした。
ちょっとネタバレかもしれませんが、彼女の映像作品にはいつもご本人が登場するのですが、今回はなんと主人公の女の子が恋をする先輩(古事記では山幸彦の位置付け)の役でした。男装したスプツニ子!さんが死ぬほどイケメンで私も恋に落ちそうだったので必見です。
そのあとは唐櫃に移動して、豊島ウサギニンゲン劇場へ。
usaginingenさんは自作の映像機と楽器を使う、お2人で活動されているパフォーマンスユニットです。
ベルリンで活動を始めて、各国を転々とし、この4月から豊島に拠点を移されたそうです。
どう、言葉で表現して良いのか分からないんだけど…。
映像は3枚のレイヤーと様々な道具を作ってその場で作り出されていて、どういう映像を作るかっていうのは予め決められているんだけど、毎回微妙に異なった映像が生まれる即興性があり、かつ手法自体はアナログなんだけど、幻想的で不思議な世界を作り出している。
音楽も同様にその時々で即興で演奏している、その、ライブ感というか。
ウェブサイトからそのパフォーマンスの様子を記録した映像を観ることはできますが、映像では全然伝わらないライブ感があります。なんというか、目の前で作品が紡ぎだされていく感じかな。
今後も豊島を拠点に活動されるということなので、是非通いつめたいと思いました。
最後は檀山(だんやま)という豊島で一番高い山の山頂・展望台へ。
山頂近くにある豊玉姫神社。ここに来ると、先ほどのスプツニ子!さんの作品がグッと深みを増します。
縁結びの神社です。
この日はちょっと靄がかかっていたので見えづらいですが、瀬戸内海の島々が一望できる多島美!
豊島美術館も見えますね。